頭殿長 前回の続きです。妊娠5週初めで子宮内に胎嚢が確認できると、妊娠6週初めで胎嚢内に米粒の1/3ほどの胎芽(胎児になる細胞の塊)が見え、拍動を始めます。さらに一週間経過して妊娠7週に入ると、胎嚢は30-40mm、胎児の座高(頭殿長:CRL)は10mmに育ちます。下の写真が妊娠7週0日の子宮の超音波検査画像です。私たちの仕事はほぼ終わり、妊婦検診(周産期管理)をしてもらえる病医院へバトンタッチしています。
胎嚢 胚移植終了後、約2週間で妊娠判定日がやってきます。患者さんも、私たちクリニックのスタッフも、ストレスがかかってドキドキする日です。絨毛が生産するHCGというホルモンを測定して着床の有無を診断します。無事に着床していれば、さらに1週間後、妊娠5週初めに、血中HCG値は数千mIU/ml まで伸び、経腟超音波で子宮内に胎児が育って行く部屋ともいえる「胎嚢(たいのう)」という袋状のものが見えてきます。HCG値が伸びているのに、子宮内に胎嚢が見えない場合、子宮外妊娠(異所性妊娠)を考慮しながら慎重に経過観察を続けます。超音波検査装置の画面に映っている子宮内の黒い小さな袋がわかるでしょうか。この胎嚢をとりあえず見るために患者さんと私たち生殖医療関係者は日々闘っています。