卵子に精子をふりかけて受精を待つ「精子おまかせコース」を、「通常の体外受精」と言います。となると、卵子に精子を一匹入れ受精を待つ顕微授精は、「通常ではない体外受精」なのでしょうか?
体外受精:IVFは、約30年前に誕生しました。その頃は、まだ媒精(卵子と精子のお見合い)方法といえば、「精子おまかせコース」しかありませんでした。それから約10年後、技術の進歩により、顕微授精ができました。そこで、「顕微授精」と「精子おまかせコース」を区別するため、「精子おまかせコース」にも呼び方をつけましょう、となりました。そしてついた名称が「Conventional IVF」だったわけです。
一般的に、「Conventional IVF=通常の体外受精」と訳されますが、Conventionalには、従来の、という意味もあるので、「顕微授精よりずっと前から行われている=従来の体外受精」というほうが、しっくりくるのかもしれません。つまり、顕微授精は、「通常ではない体外受精」ではなく、「通常の体外受精より後にできた媒精方法の一つ」ということなのです。
日本産科婦人科学会の統計処理でも、「体外受精」と「顕微授精」に分類されていますが、本当は、「顕微授精」も「体外受精」のひとつなので、なにかしっくりきませんね。もっと明確な用語が提案されるといいなあと思っています。