labo report

培養液について①

体外受精において、培養液は、卵子・精子・胚に直接影響を与え、その後の胚の発育はもちろん妊娠にまで影響を及ぼす最も重要な因子の一つであり、必要不可欠なものと言えます。

ヒトの体外受精に用いられる培養液にも歴史があります。1985年にQuinnにより、ヒト卵管液の成分を基にした単純な組成からなる培養液 (HTF) が開発されました。HTFは従来の培養液に比べて品質管理が容易で安定した成績が得られたため、広く使用されるようになりました。1996年にGardnerらは、初期胚培養用と後期胚培養用で異なる連続型培養液 (Sequential Medium) を開発し、胚盤胞までの長期胚培養を可能にしました。これを契機に、胚盤胞までの培養が盛んになりました。

そもそも胚の代謝は、発育のステージにより必要な栄養素が異なります。Sequential Mediumはこのような胚の代謝を考慮し、発育時期に特異的な組成で培養を行うという考えに基づいて生まれました。これに対して、胚自身が必要な栄養素を選択・吸収し、利用するのではないかという考えから、受精以降一連した組成で培養を行う培養液も開発されています。

to be continued

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