labo report

アシステッドハッチングって...?

最近アシステッドハッチング(AH)という言葉をよく聞くことがあるかと思います。

ではAHとはいったい何なのでしょう?

以前、胚盤胞は透明帯という殻を脱ぎ捨てて子宮内膜に接着し、着床するとお話したことを覚えていますか?この、殻を脱ぎ捨てるという行動をハッチングといいます。そう、このハッチングを人の手でお手伝い(アシスト)することがアシステッドハッチング(AH)です。

通常は胚自身の力や酵素の力などで自然と殻が破れるのですが、まれに殻が分厚かったり硬かったりして破れにくいことがあります。そんな時にこのAHをしてあげることで、着床しやすいように手助けしてあげることができます。

 

では、胚を移植する時いつでもAHすればよいのでしょうか?

そうではありません。例えば採卵2日後に移植する時、胚は4細胞などの分割胚の状態にあります。この時期に透明帯を取ってしまうと、1つ1つの細胞がくっつていないため、細胞みなが離れ離れになってしまいます。透明帯は細胞がばらばらにならないように囲ってくれているのです。その後胚盤胞になるころには細胞間の結合が強まり、もうばらばらになることはありませんが、透明帯は周囲からの悪影響を受けないよう胚の中身を守ってもくれています。このように、透明帯はある時期の胚にとってとても大切なガードマンのような存在なのです。つまり、もう殻を脱ぎ捨てる準備が整っているのに殻が破れない時はAHがとても有用なものとなりますが、まだ脱ぎ捨てる準備が整っていないのに無理矢理殻を脱がせてしまうことが胚にとっていいこととは言えないのです。ですから、私たちはAHを行う時期と必要性を見極めてハッチングを手助けしています。

カテゴリー
アーカイブ