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胚盤胞移植でないといけないのか?


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ピーマンを包丁で大きくふたつに切ってその断面を眺めていると、もちろん大きさは全然違いますが、胚盤胞を連想してしまいます。胚盤胞は、外側に将来胎盤の一部をつくる栄養膜細胞、内側に胎児になる内細胞塊を形成して、空洞ができます。精子と卵子からつくられた一個の細胞が分裂を繰り返して数を増やし、細胞の役割分担(分化)が始まったわけです。
統計上、胚盤胞で移植した方が着床率は高いといわれていますが、培養の過程で弱い胚がある程度淘汰されていることを考えれば、初期胚(分割胚)で移植しても採卵あたりの妊娠率は本当は変わらないのかもしれません。初期胚でもすんなり妊娠される方も多いですし、何度も培養してようやく達成した胚盤胞で妊娠された方もいらっしゃいます。「胚卵管回帰説」は本当なのか?「implantation window」はあるのか? 私はここ十年ほどずっと悩みながら胚移植をしています。
 

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人口ピラミッド

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上図が2010年の日本の人口ピラミッドで、下図は四半世紀後2035年の予測です。その頃私はもう存在していないでしょうが、近い将来、日本は若者だけでお年寄りを支えることが不可能になることが一目瞭然です。少子化は深刻な問題です。赤ちゃんを望むご夫婦の夢が叶うことが日本を救うことにもつながると思います。


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HR周期での凍結解凍胚移植

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凍結保存胚がある場合、採卵しないで解凍胚を移植することができます。移植するタイミングは、自然周期であれば排卵日から計算しますが、自然では排卵がスムーズに進みにくい人や子宮内膜があまり厚くならないタイブの人は、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを投与して子宮内膜をコントロールするHR周期がおすすめです。上の超音波画像は、HR周期で育っていく子宮内膜の変化を示しています。月経で新陳代謝をおこして剥がれ薄くなった子宮内膜は、卵胞ホルモンの作用で再び増殖して厚くなり、黄体ホルモンにより分泌期という着床に適した状態へ変換します。HR周期はホルモン剤を使い続ける不便さはありますが、胚移植の日程を管理しやすいことと、内膜を厚くできることがメリットで、免疫的に着床に役立つ可能性もあります。HR周期は卵巣が休止して排卵せず、基礎体温の高温相がなくても妊娠する不思議な周期です。

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成熟卵胞の大きさ

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体外受精をする際、成熟卵子を採取することが大前提となります。そのため、外来診療で卵胞発育を血中のホルモン値や超音波検査で監視していきます。卵胞(卵子が入っている袋)が成熟するとその直径は約20mm、血中エストラジオールは卵胞1個あたり200から300pg/mlに達します。「卵胞の大きさを葡萄でいうと、50%ほど育った卵胞はデラウェアくらいで、成熟卵胞は巨峰かマスカットくらいになります。」と、私は外来でよく例え話をします。
最近、シャインマスカットという新しい品種が注目されているようです。糖度が20度以上で皮ごと食べれて、種もありません。葡萄は種がない方が食べやすくていいのですが、本当の卵胞の中には良好卵子が入っていないと困ります。ホルモン値が正常でも、時々卵子が消失してしまった「empty follicle」が発育して採卵時に卵子が回収できないこともあります。


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第47回日本生殖医学会北陸支部学術総会

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6月6日の日曜日に、金沢ニューグランドホテルで、本年度の日本生殖医学会北陸支部学術総会が開催されました。金沢たまごクリニックと永遠幸レディスクリニックから、「Day6胚盤胞移植の意義について」「内径4μmのピペットを用いたICSI」「卵巣予備能予知としてのAMH値の検討」「AMH値のARTにおける有用性の検討」と、あわせて4題の研究発表をしました。イブニングセミナーでは、新橋夢クリニックから寺元章吉先生をお呼びして、「卵巣刺激の理論的考察」という講演をしていただき、私が座長を勤めさせていただきましたが、あらためてクロミフェンのすばらしさや調整の難しさなど、いろいろ勉強できました。ただ、この学会の準備に忙しくて、前日も百万石祭りをじっくり観る時間がありませんでした。宍戸開さんの利家公もテレビのニュースでしか見れなくて残念でした。

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