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clomiphene/HMG周期

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体外受精のスケジュールで、採卵をするためには、卵巣の中の小さな卵胞(卵子の入っている袋)を育てることが必要です。月経周期と排卵が順調な女性に、本来、排卵誘発する必要はありませんが、体外受精では、いろいろな目的で、ある程度の排卵誘発や、卵胞発育のコントロールをしています。例えば、上図のような、clomiphene/HMG(FSH) 周期が、現在最もよく普及している方法です。完全自然周期と、HMG(FSH)注射による刺激周期の折衷案のような方法です。月経の3日目に、超音波検査と血中ホルモン値測定をしてからclomiphene 製剤内服を開始し、8-9日目より卵胞発育をモニタリングします。発育卵胞の状態をみながら、適宜、HMGもしくはFSHの注射を少し使って、成熟卵胞に達した時点で、下垂体からのLHサージを起こすために、GnRHaのスプレーを点鼻します。LHサージが起きると、卵胞内の卵子は、成熟の最終段階に入り、卵胞液が貯留して巨峰くらいの大きさになった卵胞内に遊離します。精子と出会うための最後の準備をするわけですね。
まれに、スプレーの効きが悪くLHサージがしっかり起きていなくて卵胞内壁に卵子が固着している時や、もともと卵胞内の卵子が変性融解してしまっている場合は、どれだけ卵胞内を吸引しても卵子がとれなくてがっかりすることもあります。
また、脳下垂体の機能が低下している方は、自然排卵は難しく、clomiphene内服や GnRHaスプレーも無効なので、HMG(FSH)/HCG などの注射を使用する刺激周期が選択されます。

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スロートレーニング

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体外受精を何回挑戦しても、なかなか妊娠できない場合、たいていの人はメンタルに落ち込んでしまいます。特に、良好卵子を回収することが困難になってくる30歳台後半から、ますます苦しい戦いになります。最近は antiaging を謳ういろいろなサプリメントが発売されていますが、私も、antiaging が妊娠に大切だと思っています。ただ、漠然とサプリメントに頼る前に、本当は、基礎代謝量を減らさない、つまり、筋肉の量を減らさないことがとても重要だと考えています。そして、筋肉を減らさないために、きびしい筋トレではなく、「スロートレーニング」をお勧めしています。昔、東大で、私は少しだけボディビル部に在籍していましたが、一学年先輩にすごい筋肉マンの石井直方さんがおられました。彼は筋肉の研究一筋で、現在東大の教授になられてたくさんの書籍を出版されています。私は彼の「スロートレーニング」に大賛成です。どれか一冊一読してみて下さい。体外受精は現在最も強力な不妊治療法かもしれませんが、決してPerfectではありません。不妊治療をがんばる際、速やかに妊娠できれば 最高ですが、もしうまく妊娠にたどりつけなくても、身体と精神はよりよい状態に鍛えられていくようなクリニックでありたいと思っています。

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月経周期

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体外受精に必要不可欠なものは卵子と精子です。成熟した卵胞から卵子が飛び出すのが排卵ですが、体外受精は、卵子が飛び出す直前に卵胞内容を吸引して卵子を採取します。ですから、女性の月経周期の中で、卵胞の発育をいつも監視しています。月経の出血はいわば子宮内膜の新陳代謝です。その子宮内膜を動かしているのが、卵巣で作られる卵胞ホルモンと黄体ホルモンです。さらに卵巣は、脳下垂体のホルモンで制御され、脳下垂体は視床下部のホルモンで制御されています。まるで、会社の社長-部長-課長-係長という命令系統みたいですね。誰かがさぼると、排卵はうまく進まなくなり、月経周期も乱れます。

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クロミフェン

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体外受精を前提に排卵誘発をする場合、現在頻用されているのは、内服のクエン酸クロミフェンです。製薬会社によって、クロミッド、セロフェンなど商品名はいろいろありますが、1錠に含まれているクエン酸クロミフェンはどれも同じで 50mgです。でも不思議なことに、人によってA社のクロミフェンはのみにくいけどB社のクロミフェンはOKということがあります。実は、クロミフェンには zuclomiphene と enclomiphene が混在しており、各社で若干比率が異なるそうです。投与された薬剤は徐々に排泄され体内濃度が減じていきますが、クロミフェンとして活躍するのは半減期の長い zuclomiphene です。私は、小粒で呑みやすく、zuclomiphene の比率が少し高いセロフェンを第一選択で処方しています。

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トランスポーター

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大切な凍結胚や凍結精子を保管するタンクです。絶えず液体窒素を充填して厳重に維持管理しています。治療スケジュールの多様化により、凍結胚を解凍して移植することも普通になりました。患者さんのニーズにより金沢-小松間で凍結胚や凍結精子を輸送することもありますが、現在、私は金沢たまごクリニックと小松にある永遠幸レディスクリニックを行ったり来たりしているので、今日は私が自分の車で運びました。液体窒素を入れた小さい魔法瓶で輸送するのですが、事故のないよう慎重に運転していると、映画「トランスポーター」のジェイスン・ステイサムになったような気分でした。

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