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精子の精製

精液は、液体成分「精漿(せいしょう)」と細胞成分「精子」とで構成されています。

体内では、膣内に射精された精液は、子宮頚管→子宮腔→卵管と通過しながら、精漿の除去と運動精子の選別が行われます。さらに精子は受精能獲得、先体反応などの生理的、形態的変化を経て、受精が可能となります。

体外受精の場合も同様に、精漿の除去、運動精子の選別・変化が必要となります。精子の精製は、これらのことを体外で代行する操作のことで、体外受精において重要なプロセスの一つです。精子精製法には何種類かありますが、たまごクリニックでは、密度勾配遠心法を行っています。そして、精製後に集まった運動精子の数や動きをみて、「通常の体外受精」がよいか「顕微授精」がよいかを判断しています。

密度勾配遠心法については、次の機会にお伝えしますね。

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培養液について①

体外受精において、培養液は、卵子・精子・胚に直接影響を与え、その後の胚の発育はもちろん妊娠にまで影響を及ぼす最も重要な因子の一つであり、必要不可欠なものと言えます。

ヒトの体外受精に用いられる培養液にも歴史があります。1985年にQuinnにより、ヒト卵管液の成分を基にした単純な組成からなる培養液 (HTF) が開発されました。HTFは従来の培養液に比べて品質管理が容易で安定した成績が得られたため、広く使用されるようになりました。1996年にGardnerらは、初期胚培養用と後期胚培養用で異なる連続型培養液 (Sequential Medium) を開発し、胚盤胞までの長期胚培養を可能にしました。これを契機に、胚盤胞までの培養が盛んになりました。

そもそも胚の代謝は、発育のステージにより必要な栄養素が異なります。Sequential Mediumはこのような胚の代謝を考慮し、発育時期に特異的な組成で培養を行うという考えに基づいて生まれました。これに対して、胚自身が必要な栄養素を選択・吸収し、利用するのではないかという考えから、受精以降一連した組成で培養を行う培養液も開発されています。

to be continued

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7日目の胚盤胞

当院で採卵後に胚盤胞移植をする場合は、5日目もしくは

6日目に発育した胚を移植しています。ただ、なかには発育が

ゆっくりで、7日目にようやく胚盤胞になる胚もあります。

その場合、採卵した周期には移植せずに凍結保存しています。

 内膜には「インプランテーションウィンドウ」という胚の着床可能な

期間があり、採卵後7日目に胚盤胞を移植しても、すでに内膜は

胚を受け入れられない状態になっていて、せっかくの胚が無駄に

なってしまうと考えているからです。

 凍結保存した胚盤胞は、別の周期にホルモン値測定や超音波診断から

内膜の受け入れ態勢を考えて移植します。

大切な胚がひとつでも多く妊娠につながりますように・・・

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1つ1つの細胞にも個性が...

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生物の授業などで聞いたことがあるかもしれませんが、細胞は分裂を繰り返して増えていきます。1つが2つに分裂することを繰り返すので、単純に考えると、細胞の数は1→2→4→8→16と倍々に増えていくように思えます。でも実際には、初期胚移植の時に、細胞(割球)の数が3個だったり、5個や6個のたまごもしばしばあります。上の写真は、受精からほぼ同じ時間を経過した時点で観察した、まごたちすが、左から3細胞、4細胞、5細胞と割球の数が違いますね。これは、体の成長個人差があるように、細胞1個1個の発育スピードにも違いがあるためと思われます。そのため、「1つの割球は分裂したが、もう1つの割球が分裂するちょっと前」、というタイング たまごを観察すると3細胞だったり5細胞になっていたりするわけです。3細胞や5細胞が、不良のたまごというわけでは決してありませんから安心してくださいね。

 

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