labo report

培養液について①

体外受精において、培養液は、卵子・精子・胚に直接影響を与え、その後の胚の発育はもちろん妊娠にまで影響を及ぼす最も重要な因子の一つであり、必要不可欠なものと言えます。

ヒトの体外受精に用いられる培養液にも歴史があります。1985年にQuinnにより、ヒト卵管液の成分を基にした単純な組成からなる培養液 (HTF) が開発されました。HTFは従来の培養液に比べて品質管理が容易で安定した成績が得られたため、広く使用されるようになりました。1996年にGardnerらは、初期胚培養用と後期胚培養用で異なる連続型培養液 (Sequential Medium) を開発し、胚盤胞までの長期胚培養を可能にしました。これを契機に、胚盤胞までの培養が盛んになりました。

そもそも胚の代謝は、発育のステージにより必要な栄養素が異なります。Sequential Mediumはこのような胚の代謝を考慮し、発育時期に特異的な組成で培養を行うという考えに基づいて生まれました。これに対して、胚自身が必要な栄養素を選択・吸収し、利用するのではないかという考えから、受精以降一連した組成で培養を行う培養液も開発されています。

to be continued

Tamago Clinic

7日目の胚盤胞

当院で採卵後に胚盤胞移植をする場合は、5日目もしくは

6日目に発育した胚を移植しています。ただ、なかには発育が

ゆっくりで、7日目にようやく胚盤胞になる胚もあります。

その場合、採卵した周期には移植せずに凍結保存しています。

 内膜には「インプランテーションウィンドウ」という胚の着床可能な

期間があり、採卵後7日目に胚盤胞を移植しても、すでに内膜は

胚を受け入れられない状態になっていて、せっかくの胚が無駄に

なってしまうと考えているからです。

 凍結保存した胚盤胞は、別の周期にホルモン値測定や超音波診断から

内膜の受け入れ態勢を考えて移植します。

大切な胚がひとつでも多く妊娠につながりますように・・・

Tamago Clinic

1つ1つの細胞にも個性が...

cleav speed2.jpg

生物の授業などで聞いたことがあるかもしれませんが、細胞は分裂を繰り返して増えていきます。1つが2つに分裂することを繰り返すので、単純に考えると、細胞の数は1→2→4→8→16と倍々に増えていくように思えます。でも実際には、初期胚移植の時に、細胞(割球)の数が3個だったり、5個や6個のたまごもしばしばあります。上の写真は、受精からほぼ同じ時間を経過した時点で観察した、まごたちすが、左から3細胞、4細胞、5細胞と割球の数が違いますね。これは、体の成長個人差があるように、細胞1個1個の発育スピードにも違いがあるためと思われます。そのため、「1つの割球は分裂したが、もう1つの割球が分裂するちょっと前」、というタイング たまごを観察すると3細胞だったり5細胞になっていたりするわけです。3細胞や5細胞が、不良のたまごというわけでは決してありませんから安心してくださいね。

 

Tamago Clinic

通常の体外受精と顕微授精

卵子に精子をふりかけて受精を待つ「精子おまかせコース」を、「通常の体外受精」と言います。となると、卵子に精子を一匹入れ受精を待つ顕微授精は、「通常ではない体外受精」なのでしょうか?

体外受精:IVFは、約30年前に誕生しました。その頃は、まだ媒精(卵子と精子のお見合い)方法といえば、「精子おまかせコース」しかありませんでした。それから約10年後、技術の進歩により、顕微授精ができました。そこで、「顕微授精」と「精子おまかせコース」を区別するため、「精子おまかせコース」にも呼び方をつけましょう、となりました。そしてついた名称が「Conventional IVF」だったわけです。

一般的に、「Conventional IVF=通常の体外受精」と訳されますが、Conventionalには、従来の、という意味もあるので、「顕微授精よりずっと前から行われている=従来の体外受精」というほうが、しっくりくるのかもしれません。つまり、顕微授精は、「通常ではない体外受精」ではなく、「通常の体外受精より後にできた媒精方法の一つ」ということなのです。

日本産科婦人科学会の統計処理でも、「体外受精」と「顕微授精」に分類されていますが、本当は、「顕微授精」も「体外受精」のひとつなので、なにかしっくりきませんね。もっと明確な用語が提案されるといいなあと思っています。

 

 

Tamago Clinic

もどかしさ

私たち培養士は、採卵後から、卵子や精子の状態を逐次、患者さんに説明していきます。採卵当日には、必要に応じて卵子と精子のお見合い(媒精)のさせ方を相談します。さらに採卵翌日には、きちんと卵子と精子が合体(受精)できたか、翌々日には、細胞分裂が始まったかをお電話で報告しています。胚盤胞移植もポピュラーになりましたので、培養経過も複雑になり、移植や凍結の計画も合わせて、報告する内容がとても多くなってきました。
体外受精を受けられる方にとって、卵子・精子の状態、受精成立、初期胚・胚盤胞の発育状況は、とても大切な一大関心事です。でも、たまに、採れた卵子の状態から、今後の受精・初期胚・胚盤胞までの経過予想を要求されて、答えに困ってしまうこともあります。これまでの膨大な培養経験やデータから、いろいろ戦略を考えてベストを尽くそうとしているのですが、機械と異なり、生物(細胞)は本当に予測不能の局面があります。もし、期待・予定どおりの説明や報告ができなくて、もどかしい時があっても、一生懸命心を込めて培養していきますので、どうか許してくださいね。

Tamago Clinic

labo report

アーカイブ

金沢たまごクリニック
TEL 076-237-3300
(完全予約制)