母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査(NIPT)とは
今回は最近テレビや新聞などでよく見かける新しい出生前遺伝学的検査とはなにかお話したいと思います。
この検査は母体血中に含まれる胎児由来のDNA量を求めることで、胎児の染色体の数的異常を検出する非確定的検査です。数的異常の中でも現在対象となっているものは13番、18番、21番の3つの染色体についてだけになりますので、それ以外の染色体異常については知ることができません。また従来行われている母体血清マーカーに比べ感度が高いので、陰性の場合は上記3つの染色体数的異常がある確立はかなり低くなり、陽性の場合は高くなりますが、非確定的検査ですので、陽性の場合は羊水検査などの侵襲を伴う確定検査が必要になります。現在日本では限られた施設のみでしか検査できず(当院ではできません)、また検査を受けることができる妊婦も限られています。
検査自体は母体血を少量採取するのみで簡便にできるため、とりあえず検査してみようと思うこともあるかもしれませんが、検査の結果がもたらすものはとても重大なことです。ですので、検査を受けようかなと考えた時は、結果が出たらどうするかだけではなく、本当にこの検査を受けるのかどうするのかも慎重にご夫婦で考えることが大切だと思います。